本校の教育について
本校で何が学べるか
本校は、広大な学校農場を実践教育の場としながら、毎年、目標を立てて農場経営を行っています。具体的には、農場を構成するそれぞれの部門が経営目標の達成を目指して、作物の作付けや家畜の飼養計画を立て、それにそって生産から販売まで一貫した管理運営を行っています。 もちろん、その経営の実践には担当の先生が率先して当たっていますが、学生もそれに参加することによって、生きた生産技術と経営管理能力を身につけるというのが、本校の経営実践教育の特色です。 例えば作物園芸部門では、先生の指導のもと、野菜の数品目について播種から出荷までの管理を専攻の学生に任せます。それによって学生には責任感が生まれ、それをやり遂げることで深い喜びと達成感を得ることができ、同時に生きた技術と経営が学べます。
現在の主な取り組み
農産部門
・スイートコーンの収穫期予測システムの構築
・ドローン等の活用によるセロリ芯腐病早期検知
・ファインバブル水による野菜の成長促進
・セロリ・ブロッコリーをはじめ20種以上の野菜の栽培
・土壌改良資材フルボ酸を用いた連作障害回避
・天候不順・気象災害に対する回避策
畜産部門
・酪農・養鶏・養豚におけるアニマルウェルフェア改善システムの構築
・昼夜放牧飼養によるジャージー牛乳のブランド化
・放牧養鶏による高付加価値卵・肉生産システムの開発
・アロウカナ養鶏による特殊卵生産を目指したエンリッチドケージの改良
・酪農における飼料自給率向上を目指した高集約採草地の造成
・養鶏における飼料自給率向上を目指した農産残渣の利用
・大学校の畜産を利用したアニマルウェルフェアリカレント教育システムの開発
花卉部門
・パンジー等の花壇苗の栽培と販売
・シクラメン・ベゴニア等鉢花の栽培と販売
・ドライ用切り花の生産と商品化
・寄せ植え等の体験型販売
その他
・ベンチャー企業の知的集積とコラボする八ヶ岳フォーラム
・保育者を対象とした滞在型食育体験研修会
・農林技術アカデミーによる最新技術の習得
紹介動画
長野朝日放送(abn)しんきん信州企業応援宣言!のCMで本校が紹介されました(2021年12月撮影、2022年3月放送)。
(画像をクリックすると、長野朝日放送のページが開き、視聴できます。)
専攻4部門の紹介 --野菜、花卉、酪農、養鶏
野菜
各1-2 haほどの大規模圃場でブロッコリー、スイートコーン、ハロウィンカボチャを、また、温室と小規模圃場でトマト・キュウリ・ナス・ピーマンなどの果菜類、ネギ、ジャガイモ、サツマイモ、ラッカセイなどを栽培しています。栽培面積は約20 ha。2年間の専攻生と1年間の研究科生が各野菜を担当し、種播きから、苗定植、除草・防除などの管理作業、収穫、調整、出荷まで野菜栽培の基本技術と理論を体系的に学び、併せて色々な成長促進剤、土壌改良剤、天然の農薬などを利用したプロジェクト研究にも取り組みます。減農薬・減化学肥料栽培を中心に有機栽培技術の習得にも力を入れています。
花卉
ガラス温室3棟1,000 m²でシクラメン、パンジー、ビオラを中心に、種々の鉢植え花卉を栽培しています。また、春から秋にかけて花壇用の苗物や宿根草類や鉢花を栽培しています。主役のシクラメンについては、春の苗の管理から始まって、灌水、防除、葉組みなどきめの細かい管理を行い、高品質なものを育て、直売所を中心に販売しています。学生は鉢花の生産に関する基本技術を学び、また、自分で選んだ花について有機肥料の影響などのプロジェクト研究を実施します。
酪農
搾乳牛としてホルスタイン種約70頭、ジャージー種10頭、前者は繋留方式、後者は昼夜放牧方式で飼養しています。子牛や育成牛を含めると約110頭にもなります。朝夕2回の搾乳作業に加え、給餌、除糞、哺乳、牛の健康観察と手入れ、牛舎・施設の点検・清掃・補修等を行います。放牧期間は4月から11月で、ジャージー牛の他、ホルスタイン種の育成牛や乾乳牛も放牧し、腹作りと肢蹄の強健化を目指します。繋留飼養からの牛糞を堆肥化し、牧草やデントコーン栽培による自給飼料生産に利用します。酪農に関わる全ての技術を学ぶことができますが、特に、アニマルウェルフェアに関する講義と実習に力を入れています。また、チーズ、アイスクリーム、ヨーグルトなどの乳製品加工についても学ぶことができます。学生は、これらに技術習得に加え、餌の違いがホルスタイン牛乳量生産に及ぼす影響などのプロジェクト研究を実施します。
養鶏
農業生産法人黒富士農場との連携による養鶏5,400羽を平飼い放牧で飼養しています。基本的な給餌、給水、採卵、卵重計量、選別・パック詰め、鶏の健康観察と処置、鶏舎・施設の点検・清掃・補修等を実習します。加えて、鳥インフルエンザ予防のため、放牧期間は4月から10月ですが、アニマルウェルフェアに配慮した鶏の放牧管理という特徴ある技術も学習します。実践している養鶏は飼養方式の特殊性から来る高付加価値畜産ですので、特別な販路を探索する必要があり、六次化についても学習します。餌の違いが卵生産に及ぼす影響などのプロジェクト研究も実施します。
カリキュラム
学科 | 入学資格 | 専攻部門 | 教育目的 | |
---|---|---|---|---|
研究科 | 1年制 | 大学・短大卒以上 | 野菜、花卉、酪農、養鶏から1部門を選択 | 農業指導者 農業自営者 農業関連従事者 |
短期7か月 | 大学・短大卒以上 | |||
専修科 | 2年制 | 高校卒以上 | 農業自営者 農業関連従事者 |
研究科カリキュラム
大学や農業大学校などで得た知識と本校での生産実習や経営実践を通じて、専門的農業技術と経営管理能力を兼ね備えた、新しい農業の経営者・指導者を養成します。
年間スケジュール
教育内容
1)大規模圃場、畜産での徹底した専攻実習と講義・ゼミ及びプロジェクト研究によって、専門的な農業技術と農業経営能力を養います。
2)学生の自主性、独創性が発揮できる学生管理試験圃でチャレンジできます。
3)日本の優れた農家や農業法人にむける研修で、実践的技術や経営手法、農業観を学びます。
4)各種試験場、先進農業地域、市場の視察や優秀農家、各界専門家による特別講義を受けます。
履修科目
農業経営/農村社会/農業政策/普及事業/海外事情/環境管理/地球環境と農業/食と健康/農畜産加工/農業概論/畜産概論/農業機械施設/農業簿記/生物学/土壌肥料概論/プロジェクト研究/先進農家研修
専攻科目
環境保護概論/作物栽培経営/野菜栽培経営/花卉栽培経営/土壌実験・演習/作物園芸ゼミ/乳牛飼養管理経営/養鶏飼養管理経営/畜産ゼミ
選択科目
農畜産加工演習/情報処理演習/土壌分析・診断/機械分解整備/山林実習
専修科カリキュラム
年間スケジュール
教育内容
・オールラウンド実習
半年間、全部門での実践学習です。幅広い農業分野が体験でき、10月からの専攻実習へとつながります。
・専攻実習
専攻部門での実習です。自分の畑、自分の畜舎でプロジェクト研究を行いながら、先生・学生一体となって1年半、農業の楽しさ、厳しさを肌で感じながら生産・流通・経営の知識、専門技術の修得を目指します。
・先進農家研修
校内実習では得られない先進農家や農業法人での農業体験学習です。1ヶ月間、生きた農業経営の学習や農家の農業観、農村社会のしくみなどを学習します。
・総括学習
選択科目による専門分野の充実・補完をはかるとともに、卒業論文をまとめます。
履修科目
農業経営/農村社会/農業政策/普及事業/海外事情/環境管理/地球環境と農業/食と健康/農畜産加工/農業概論/畜産概論/農業機械施設/農業簿記/生物学/土壌肥料概論/プロジェクト研究/先進農家研修
専攻科目
環境保護概論/作物栽培経営/野菜栽培経営/花卉栽培経営/土壌実験・演習/作物園芸ゼミ/乳牛飼養管理経営/養鶏飼養管理経営/畜産ゼミ
選択科目
農畜産加工演習/情報処理演習/土壌分析・診断/機械分解整備/山林実習
卒業後について
卒業後、新規就農、農業法人等への就職を希望する方には、就農指導や就職斡旋や指導をします。